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    骨盤臓器脱(膀胱脱、子宮脱、直腸瘤)について

    骨盤臓器脱について

    骨盤臓器脱とは?

    骨盤臓器脱とは、子宮、膀胱、直腸などの骨盤内の臓器が、骨盤底の筋力が弱まることで、膣の中に落ち込んでしまう病気です。まるで、袋から中身がこぼれ落ちてくるようなイメージです。

    なぜ起こるの?

    • 出産: 出産は骨盤底の筋肉に大きな負担をかけ、損傷を引き起こすことがあります。
    • 加齢: 加齢に伴い、骨盤底の筋肉が衰えていくため、臓器を支える力が弱まります。
    • 慢性的な咳や便秘: 慢性的な咳や便秘は、腹圧を上昇させ、骨盤臓器を下方に押し下げる力となります。
    • 重いものを持ち上げる: 重いものを頻繁に持ち上げる行為も、骨盤底に負担をかけます。

    どんな症状があるの?

    • 何かが膣から出てきているような感覚: 仰向けになると症状が軽くなり、立ち上がると悪化する傾向があります。
    • 排尿・排便のトラブル: 尿漏れ、頻尿、残尿感、便秘などが起こることがあります。
    • 性交痛: 性交時に痛みを感じる場合があります。
    • 腰痛: 骨盤臓器が下垂することで、腰に負担がかかり、痛みを感じることもあります

    骨盤臓器脱の種類

    1.膀胱脱:全体の60%くらいにあたり最も多い。ひどくなれば排尿困難、尿漏れ、頻尿など排尿にも影響を及ぼす。

    2.子宮脱:膀胱脱の次に多い子宮脱の症状は、下腹部の違和感、下着に擦れることによる出血や痛み・痒みがあります。下着におりものが付着することから子宮脱がわかるケースもあります。

    3.直腸瘤:膣から直腸が脱出した状態です。便意が増える、残便感があるなどの症状が現れます。便秘や排便障害を起こすケースも珍しくありません。直腸瘤のみの方は少ないです。

    4.小腸瘤:子宮摘出後の方に多いです。子宮摘出したのに下がってきた方はこちらの可能性が高いです。

     

    骨盤臓器脱のステージ

    骨盤臓器脱の程度は、以下のステージに分類されます。

    • ステージ0: 症状なし
    • ステージ1: 立ち上がったり、いきんだ時にだけ膣内に臓器が降りてくる
    • ステージ2: 立ち上がると膣口まで臓器が降りてくる
    • ステージ3: 膣口の外まで臓器が降りてくる
    • ステージ4: 臓器が完全に膣の外に出ている


    どんな人がなりやすいの?

    • 出産経験のある女性: 特に、経腟分娩を経験した女性や、多産な女性はリスクが高まります。
    • 高齢の女性: 加齢に伴い、骨盤底の筋力が低下するため、リスクが高まります。
    • 慢性的な咳や便秘のある人: 慢性的な腹圧の上昇が、骨盤臓器脱のリスクを高めます。
    • 重いものを頻繁に持ち上げる仕事をしている人: 重いものを持ち上げる行為は、骨盤底に負担をかけます。


    どうやって治療するの?

    骨盤臓器脱の治療法は、症状の程度や患者さんの年齢、生活習慣などによって異なります。

    • 骨盤底筋体操: 骨盤底の筋肉を鍛える体操です。
    • ペッサリー: 膣内にリング状の器具を入れて、臓器を支える治療法です。
    • 生活習慣の改善: 重いものを持ち上げないようにしたり、便秘を解消したりするなど、生活習慣を改善することも大切です。
    • 手術療法:症状が重く、保存療法で改善が見られない場合は、手術が検討されます。 当院では膣からアプローチするTVM手術を日帰りで行っています。

    骨盤臓器脱を予防するには?

    • 骨盤底筋体操: 妊娠中から、あるいは出産後に骨盤底筋体操を始めることが大切です。
    • 便秘の解消: 食物繊維を多く含む食品を摂取し、規則正しい排便習慣を身につけることが重要です。
    • 体重管理: 肥満は腹圧を高めるため、適正な体重を維持することが大切です。
    • 重いものを持ち上げる際の注意: 重いものを持ち上げる際は、膝を曲げて持ち上げ、腰に負担をかけないようにしましょう。

     

     

    骨盤臓器脱は、放置しておくと日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。症状を感じたら、早めに婦人科を受診しましょう。

    ご自身の症状について心配な場合は、必ず専門の医師にご相談ください。