おしっこが溜まった時の痛みは間質性膀胱炎かも。
2025.05.24
間質性膀胱炎(かんしつせいぼうこうえん、Interstitial Cystitis:IC)は、膀胱に慢性的な痛みや不快感を引き起こす疾患で、膀胱炎という名前ですが、一般的な細菌感染による膀胱炎とは異なり、原因がはっきりしない非感染性の慢性疾患です。
🔍 主な特徴
- 膀胱の痛み・圧迫感:排尿の前後に悪化することが多い
- 頻尿・尿意切迫感:1日に10〜50回以上トイレに行く人も
- 排尿困難:尿の勢いがない方も
- 夜間頻尿:夜中に何度もトイレに起きる
- 尿を溜めると不快感が強くなるが特徴です。
🧪 診断
間質性膀胱炎は他の疾患との鑑別が必要で、以下のような検査が行われます:
- 問診と排尿記録
- 尿検査・尿培養:感染性膀胱炎との鑑別
- 超音波検査:膀胱外病変、腎臓などのチェック
- 膀胱鏡検査:ハンナー潰瘍(典型的な潰瘍)の有無を確認
- 尿細胞診:膀胱癌との鑑別
- 水圧拡張検査:麻酔下で膀胱に水を入れて反応をみる
🔬 病態
はっきりした原因は不明ですが、以下が関係している可能性があります。
- 膀胱粘膜のバリア機能の低下
- 自己免疫反応
- 神経過敏
- 尿中毒性物質
- 炎症性サイトカインの関与
💊 治療法
治療は症状の緩和を目的とし、個人差があります:
- 生活習慣の改善
- カフェイン・アルコール・酸味の強い食品を避ける
- トマト、チョコレート、柑橘類を避ける
- 尿を溜めすぎない。
- 薬物療法
- 抗ヒスタミン薬
- 抗うつ薬(三環系抗うつ薬など)
- 鎮痛薬
- 神経障害性疼痛治療薬
- ペントサンポリ硫酸ナトリウム(膀胱粘膜を保護)
- 膀胱拡張術
- 麻酔下で膀胱に水を入れて容量を広げることで症状の緩和を図る
- 内視鏡的治療
- ハンナー潰瘍がある場合にはレーザーや電気焼灼
- 膀胱内注入療法
- ハンナー潰瘍がある場合にはDMSO(ジメチルスルホキシド)を膀胱内に注入する
👩⚕️ 経過と予後
- 慢性疾患で、完治は難しいことが多いが、治療により生活の質が大きく改善することもある
- ストレスや食生活で症状が悪化する場合もあるため、セルフケアが重要である。