腎臓にできもの?腫瘍の種類と注意すべき症状とは。
2025.05.29
腎臓の腫瘍の種類
腎臓にできる腫瘍にはさまざまな種類がありますが、大きく以下のように分類されます。
- 良性腫瘍(がんではない)
腎臓の腫瘍の中でも、比較的よく見られる良性腫瘍には次のようなものがあります。
- 腎血管筋脂肪腫(AML)
女性に多く、脂肪・血管・筋肉からなる腫瘍です。ほとんどが良性ですが、サイズが大きくなると出血のリスクがあるため、定期的な経過観察や必要に応じて治療が行われます。 - 腎嚢胞(じんのうほう)
液体で満たされた袋状の構造で、加齢とともにできることが多いです。ほとんどは無症状で放置可能ですが、複雑な構造をしている場合はがんとの鑑別が必要です。 - 腎腺腫
ごく小さな良性腫瘍で、ほとんどが無症状・無害です。ただし、悪性腫瘍との鑑別が難しいこともあります。
- 悪性腫瘍(がん)
腎臓にできる悪性腫瘍、つまり腎がんには以下のようなものがあります。
- 腎細胞がん(RCC: Renal Cell Carcinoma)
腎がんの中で最も一般的。初期には自覚症状がほとんどなく、健康診断や画像検査で偶然見つかることが多いです。進行すると血尿や腰痛、体重減少などの症状が出ることも。 - 腎盂がん
腎臓の内部で尿が集まる「腎盂」にできるがん。尿路上皮が由来で、膀胱がんと性質が似ています。血尿が出ることが多く、尿細胞診などで診断されます。 - 小児に多い腎腫瘍(ウィルムス腫瘍など)
小児に発生する腫瘍の代表的なもの。治療によって予後は良好なケースも多いです。
<腎臓腫瘍の主な症状>
腎臓の腫瘍は、初期にはほとんど症状が出ません。進行すると以下のような症状が現れることがあります。
- 血尿(目に見える場合もあれば、顕微鏡レベルのことも)
- 腰や背中の痛み
- 腹部のしこり
- 発熱や体重減少(がんによる全身症状)
<検査と診断>
腎臓腫瘍の発見には以下のような検査が行われます。
- 腹部超音波検査
- CT検査、MRI検査
- 尿検査、血液検査
- 生検(組織の一部を採取して調べる)※必要な場合
<治療法>
治療法は腫瘍の種類・大きさ・転移の有無などにより異なります。
- 良性腫瘍:経過観察が多いが、大きくなる場合は手術や血管塞栓術を行うことも。
- 悪性腫瘍:
- 外科的切除(腎部分切除または全摘)
- 分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬
- 放射線療法(状況に応じて)
<まとめ>
腎臓の腫瘍は、良性でも注意が必要なものがあり、悪性の場合は早期発見が鍵となります。無症状でも、健康診断や画像検査で偶然見つかることが多いため、定期的な検診はとても重要です。
不安な症状がある方、健康診断で異常を指摘された方は、泌尿器科専門医の診察を受けることをおすすめします。